海外安全対策情報:平成30年度第2四半期(平成30年7月~9月)

平成30年10月5日
1. 社会・治安情勢
  サンパウロの治安は依然として回復の兆しを見せず,サンパウロ市及び周辺の都市においては,拳銃を使用した強盗事件や強盗殺人事件などの凶悪事件が昼夜を問わず多発している。また,サンパウロ市中心部のパウリスタ大通りを中心に,様々な目的を掲げるデモが頻繁に発生している。


2. 一般犯罪・凶悪事件の傾向
(1)殺人の発生件数は減少しているものの,邦人被害が多発している強盗や窃盗については高止まりの状態にある。特に強盗事件については,そのほとんどが拳銃を使用したものであり,逃走や抵抗したりすると命に危険がおよぶ可能性が高いため,細心の注意が必要である。

(2)邦人被害
  ア 強盗
  (ア)7月4日午後8時頃,被害者がベラ・ビスタ地区パウリスタ大通りにある飲食店でスマートフォンを操作しながらテイクアウト商品ができるのを待っていたところ,拳銃を所持した賊1名が店内に押し入り,被害者に拳銃を突きつけ金品を要求,被害者が差し出したスマートフォンと腕時計を強取しそのまま逃走した。なお店内に他の客はおらず,2~3名の店員がいる程度であった。
  (イ)8月20日午後8時45分頃,被害者がパライゾ地区マリア・フィゲイレド通り歩道上でタクシーから下車した直後,武器らしき物を所持した賊1名に不意にバッグを強奪され,さらに,現金,携帯電話,腕時計を渡すよう要求された。金品はバッグの中と指し示しているうちに,周囲で異変に気づく者が現れたため,賊は速歩でパウリスタ大通り方面へ逃走した。
  (ウ)9月16日午前10時30分頃,被害者は,サンパウロ市リベルダージ地区23デ・マイオ大通りとコンデッサ・デ・サン・ジョアキン通りを結ぶ階段上を通りかかったところ,階段を塞ぐ形で座り込む黒人男性2名を発見,不審に思いリュックを男性から遠ざける等身構えた状態で通過したところ,前掛けしていたリュックを強奪され,転倒した際に軽傷を負った。
  (エ)9月21日午後7時40分頃,被害者がベラ・ヴィスタ地区ピカロロ通りをタクシーにて移動中,渋滞に巻き込まれて一時停車したところ,拳銃を所持した賊2名が現れ,金品を要求され,被害者は犯人の要求に従い,携帯電話,財布,腕時計を手渡した。その他,運転手及び同僚も財布,携帯電話を強奪された。

  イ 窃盗
  (ア)7月11日午後2時45分頃,被害者は同僚が運転する車に乗車し,リベルダージ地区にある駐車場からパウリスタ大通りに向け出発したところ,間もなくタイヤのパンクを示すランプが点灯したため路肩に停車し,スペアタイヤへの交換作業を行っていたところ,2名の通行人男性から立て続けに声をかけられ簡単な会話をした。その後,タイヤ交換が完了し車に乗り込んだところ,無施錠の後部座席に置いてあったバックが盗まれていることに気づいた。
  (イ)7月27日午後10時頃,被害者が夕食を摂るためイタイン・ビビ地区ドウトール・レナト・バエス・デ・バホース通りにあるレストランへ行き,車の鍵をレストランの係員に預けて夕食を摂り,夕食後,車を呼ぼうとしたが,タイヤがパンクしており車が移動できないことが判明,スペアタイヤを取り出そうとトランクを開けたところ,積んであったスーツケースが盗まれていた。
  (ウ)7月28日午後0時30分頃,被害者はセー駅構内を移動中,後方から現れた男性にバッグが汚れていると声をかけられ,確認したところ,液体が付着していたことから,駅構内の端に移動し,男性と共に汚れを落とすも,上着も汚れていることが分かり,バックを床に置き,上着を脱いで汚れを落としていたところ,床に置いてあったバッグが盗まれていた。なお,声をかけてきた男性は犯人を捜す素振りを見せつつ,姿を消した。
 
3. テロ・爆弾事件発生状況
  テロ事件の発生は認知していないが,現金を目的とするATMの爆破はサンパウロ州郊外を中心に多数発生している。

4. 誘拐・脅迫事件発生状況
  邦人被害は認知していない。

5. 日本企業の安全に関わる諸問題
  10月に実施される大統領選挙に起因する大規模デモが各地で発生しており,今のところストライキ等の実害は発生していないが,予断を許さない状況が続く。