海外安全対策情報 令和5年度第1四半期(4~6月)
1 社会・治安情勢
サンパウロ州の治安は依然として回復の兆しを見せず、サンパウロ市及び周辺の都市においては、けん銃を使用した強盗事件やフードデリバリーの配達員を装った者によるひったくり事件が多発しており、さらに、サンパウロ市セントロ地区においては、集団による強盗致傷事件が昼夜を問わず発生している。また、サンパウロ市中心部のパウリスタ大通りを中心に、様々な目的を掲げるデモが頻繁に発生している。
2 一般犯罪・凶悪事件の傾向
コロナ禍の収束とともに、強盗・窃盗事件が増加しており、邦人が被害者となる事件の発生件数も増加傾向にある。
3 主な邦人被害
(1) 強盗・強盗致傷事件
ア 4月20日(木)午後10時30分頃、被害者(駐在員)がグアルーリョス空港に到着し、空港タクシーに乗車して帰宅中であった午後11時頃、パライゾ地区の路上において、突然賊が乗車した乗用車がタクシーの前方に割り込んで停車させ、タクシーの運転手と被害者にけん銃を突き付けて、スマートフォン在中のリュックを奪い取り、車で逃走した。
イ 6月23日(金)午後6時頃、セントロ地区に位置するルース駅付近の路上において、賊は徒歩にて通行中であった被害者(旅行者)の背後から蹴る等の暴行を加え、スマートフォンを奪い取った。その際、被害者は骨折の重症を負った。
ウ 6月28日(水)午後7時45分頃、パウリスタ大通りにおいて、被害者(駐在員)が徒歩にて通行中、フードデリバリーの配達員を装った賊が自転車で被害者に接近し、被害者が手にしていたスマートフォンをひったくろうとしたものの、スマートフォンと紐をベルトで結んでいたため、被害者はその場で転倒した。賊は紐を引きちぎり、フードデリバリーの配達員を装った共犯者にスマートフォンを手渡して逃走した。その際、被害者は手や膝に打撲を負った。
(2) 窃盗事件
ア 4月29日(土)午後3時頃、自転車に乗車した賊は、ヴィラ・マリアナ地区に位置する店舗前路上に設置されたベンチに座っていた被害者(駐在員)が手にしていたスマートフォンをひったくって逃走した。
イ 5月16日(火)午後4時頃、エキスポセンター・ノルチ付近の路上において、賊は、配車アプリで配車手配する等してスマートフォンを操作中であった被害者(駐在員)に徒歩で接近し、被害者が手にしていたスマートフォンをひったくって逃走した。
ウ 5月20日(土)午後6時15分頃、リベルダーデ地区の交差点において、賊は、友人と信号待ちをしながらスマートフォンを操作中であった被害者(短期滞在者)に自転車で接近し、被害者が手にしていたスマートフォンをひったくって逃走した。なお、その後、スマートフォン内に登録していたクレジットカード情報が悪用され、複数回にわたる不正利用が確認された。
エ 6月22日(木)午前6時頃、リベルダーデ地区に位置するホテル内ロビーにおいて、被害者(駐在員)が受付から数メートル離れた椅子に手荷物を置き、チェックイン手続中、賊は予め準備した荷物と、スマートフォン、クレジットカード等在中の被害者の荷物をすり替え、逃走した。なお、その後、クレジットカード情報が悪用され、複数回にわたる不正利用が確認された。
(3) 詐欺未遂事件
5月15日(月)、被害者(長期滞在者)は、自身が口座開設する銀行支店の実在する担当者を名乗る男から、他行への振込について尋ねられたが身に覚えのない取引だったためにキャンセルを依頼したところ、セキュリティ担当者を名乗る男に電話が回され、ネットバンキングで利用しているスマートフォンにウィルスが侵入したので、ウィルスを除去するアプリケーションをインストールするよう指示を受けた。そこで、指示されたとおり進めたところ、インターネット取引用の暗証番号を入力するよう求められたが、この時、インストールするよう指示されたアプリケーションは遠隔操作を行うためのものであることに気付いたことで、未然に被害を防ぐことができた。
4 テロ事件発生状況
事件の発生は認知していない。
5 誘拐・脅迫事件発生状況
邦人被害は認知していない。