離任のご挨拶

令和7年10月1日

   この度、在サンパウロ総領事としての任を終え、明日当地を発つこととなりました。令和5年11月に着任しましてから約1年11か月の間、皆様には大変お世話になりましたことに先ずもってお礼申し上げます。

   在任中、できるかぎり時間を割いて、主にサンパウロ州内の日系移住地を訪問するとともに、日本祭りや盆踊り、灯篭流しなどにも地元の方々と一緒に参加するなどに努めてまいりました。それら何れの場所においても、先人移住者の足跡を直に感じることができ、現在の日本とブラジルの良好な関係、深い絆は、これらの諸先輩のお蔭大なるものがあると改めて感じることしばしばでありました。

   昨年5月には、日本の総理大臣の二国間訪問としては10年ぶりとなるブラジル来訪が実現し、当地サンパウロでも各種行事が行われました。そして本年、日ブラジル外交関係樹立130周年慶賀の年に、佳子内親王殿下の御訪問を通じて、日本とサンパウロ州やマット・グロッソ・ド・スール州との関係が一層緊密化し、お互いの心の交歓ができましたことは皆様の記憶にいまだ新しいことかと思います。

   サンパウロには、ブラジルへの日系進出企業の多くがオフィスを構えて、ブラジルとの経済関係強化のために活発に活動されています。これら駐在企業の方々と日々近しく接し、また日本から各社幹部のご来訪の折りに意見交換の機会を頂くなどにより、日系企業の技術、工夫、創造性などが如何に二国間経済関係強化に貢献しているかを再認識いたしました。「高い信頼性」「相互尊重」「長期的視点に立った持続可能な関係構築」など、日本企業に共通するモットーを、一層多くのブラジルの関係者に知っていただくべく私としても微力を尽くしてまいりました。

   当地「ジャパン・ハウス」は、2017年の設立以降来場者が440万人を超えるなど、多くの人たちに愛されています。昨年には約8万5千人のブラジルの方々が訪日し、大阪・関西万博が開催されている本年は、さらに多くの訪日観光客が見込まれるでしょう。訪日をとおして日本の魅力―とりわけ、地方の自然、歴史、物産や食文化などの素晴らしさがなお一層広く知られることを確信しています。

   2年前に当地に着任して最初の日に、市内イビラプエラ公園にあるブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑に参拝させていただきました。そして本日先ほど、総領事としての最後のお勤めとして同碑を参拝し、「先人敬慕」と感謝の気持ちをお伝え申し上げたところです。

   多くの方々に支えられた2年間でありました。皆様に心からの感謝を捧げながら、以上離任の言葉とさせていただきます。

令和7年10月朔日

在サンパウロ総領事 清水 享